脳腫瘍とは
脳腫瘍 = 頭蓋内腫瘍
頭部にできる腫瘍を総称して「脳腫瘍」と呼びます
- 全身の他の臓器にできる腫瘍と同じく、遺伝子の異常によって発生します
- 良性のものや、悪性のものが含まれます
脳腫瘍の特徴 = 多様性
脳実質内あるいは外の様々な部位の、様々な細胞から発生する
- 組織型が様々
- 発生部位が様々
組織学的に分類
原発性: 頭蓋内の細胞から発生するもの
- 脳実質(脳みそ)
- 脳実質外のその他の組織 (髄膜、神経鞘、下垂体など)
転移性: 頭蓋外の癌が頭蓋内に転移したもの
頻度 (日本脳腫瘍全国統計)
- 原発性脳腫瘍:年間10〜12人/人口10万人
- 転移性脳腫瘍:年間5〜10人/人口10万人
小児の脳腫瘍
- 年間2人/人口10万人
- 小児腫瘍のなかで、白血病についで2位
- 全脳腫瘍の7.8%
傾向
- 高齢者の悪性腫瘍の増加
- 転移性脳腫瘍の増加
脳腫瘍の種類
様々な部位に、様々な種類の腫瘍が発生するのが脳腫瘍の特徴です。大脳の中に発生するものもあれば、下垂体に発生するもの、脳の表面を包んでいる膜から発生するものなどいろいろな部位から発生します。また、細胞の種類もいろいろで、悪性度の低いものから高いものまであります。
脳腫瘍の症状
共通する症状と、それぞれの腫瘍に特徴的な症状があります。
共通する症状としては、頭がい骨の中の圧が高まるために頭痛が発生します。また、けいれん発作をおこすこともあります。
脳腫瘍の治療
種類によって違います。大きくわけると、手術で摘出する、化学療法をする、放射線治療をする、の3つです。
※詳しい検査・手術療法については、下記リンク先の「主な検査・手術療法」をご覧下さい。
- ナビゲーションシステムを使った手術
- 覚醒手術
- 経蝶形骨洞手術
- 内視鏡手術
- 腫瘍血管塞栓術
- 集学的治療
- 定位的脳生検術
よくある脳腫瘍
- 神経膠腫(グリオーマ)
- リンパ腫
- 髄膜腫
- 下垂体腺腫
- 聴神経鞘腫
- 小児の脳腫瘍(頭蓋咽頭腫、髄芽腫、上衣腫、胚細胞腫)
- 転移性脳腫瘍
脳腫瘍の画像診断
院内および、近隣の病院・施設と連携して、最新かつ高度な画像診断装置を用いて、より正確な脳腫瘍の診断を行っています。
3テスラMRI
MRIは強い磁場の中で撮影を行います。磁場が強いほどきれいな画像がとれます。岡山大学病院および岡山療護センターには、現在日常臨床で使用できる最高磁場のMRIを導入しています。これを用いて、脳腫瘍の診断、脳機能診断を行っています(ファンクショナルMRI)。
PET検査:香川大学医学部附属病院、岡山画像センター
PET検査は、脳腫瘍の悪性度の診断に有用です
PET検査
悪性であるほど、糖代謝、アミノ酸代謝は高い。
脳(神経細胞)は、糖代謝が高いので、FDGの診断的価値は高くない。
メチオニン(アミノ酸)の診断的価値は高い。
メチオニンは保険適応でないため、施行可能な施設は限定される。(近隣では香川大学)
ファンクショナルMRI
MRIで、脳内で、言語の中枢がどこにあるかを術前に推測することが可能です。
下の図は、同じ患者さんで術中にマッピングを行い、言語野を探し当てた結果を示しています。
トラクトグラフィー
DTI
MRI画像をもとに、脳内を走る運動神経線維などの位置を推測することが可能です。これにより、手術中に見えない神経線維を傷つけないように安全に腫瘍を摘出できます。