臨床研究132

薬剤抵抗性本態性振戦患者におけるMRIガイド下集束超音波治療の不適応症例に対する高周波視床凝固術および脳深部刺激療法の効果の検討


岡山大学病院において本態性振戦に対する高周波視床凝固術および脳深部刺激療法を受けられた方およびそのご家族の方へ
―「薬剤抵抗性本態性振戦患者におけるMRIガイド下集束超音波治療の不適応症例に対する高周波視床凝固術および脳深部刺激療法の効果の検討」へご協力のお願い―

研究機関名 岡山大学病院
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
研究機関長 岡山大学病院長 前田嘉信
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科長 伊達勲
研究責任者 岡山大学病院 脳神経外科 教授 伊達勲
研究分担者 岡山大学病院 脳神経外科 助教 佐々木達也
岡山大学病院 脳神経外科 医員 細本 翔
岡山大学病院 脳神経外科 医員 岡﨑洋介

1.研究の概要

1) 研究の背景および目的

薬物で十分な効果が得られない本態性振戦に対する新たな治療法として、超音波を用いた治療「MRIガイド下集束超音波治療」が2019年6月より日本で保険適応となりました。脳に超音波を当てて、震えの原因となっている異常な脳活動を抑える低侵襲な(身体への負担が少ない)治療です。しかし、超音波の特性上、頭にインプラントのある患者さんや頭蓋骨の骨密度が低い患者さんは、この治療を受けることができません。そういった患者さんは従来行われてきた、脳へ直接治療機器を挿入して行う治療(定位脳手術)が選択肢となります。超音波治療が受けられない患者さんへの定位脳手術の有効性と安全性については不明確な点も多く、データの蓄積とその解析が必要です。
この研究の目的は、薬剤で十分な効果が得られない本態性振戦で、MRIガイド下集束超音波治療が不適応と考えられた患者さんに対する定位脳手術の有効性と安全性を解明することです。

研究の意義

本研究により、治療効果や予後を予測するバイオマーカーが同定されれば、個別化医療(患者さんごとに適切な治療方法の選択など)の可能性が広がります。

有用なバイオマーカーを同定するには、ひとつの医療機関の限られたデータのみでは情報が不十分であり、多くの医療機関が協力して、研究計画書で規定された均一な方法で治療されたJCOG試験の登録患者さんの多くのデータを利用した解析だからこそ、大きな意味を持ち、将来の患者さんの治療に役立つ研究になり得ると考えています。

本研究により、ご協力いただいた患者さんご本人への直接的な利益は発生しませんが、将来の患者さんに、より効果の高い治療法が提供できるかもしれません。また、必要以上の治療を減らすことで医療費を削減するなど、社会的な利益にも繋がる可能性があります。

目的

本研究は、JCOG1114C試験に参加いただいた中枢神経系原発悪性リンパ腫の患者さんの腫瘍組織そのものや、腫瘍組織から抽出したDNAおよびRNAと、血液中の白血球のDNAを調べることで、中枢神経系原発悪性リンパ腫の特徴と関連のある異常を見つけ出すこと、および薬剤の効きやすさや予後を予測できるマーカーを見つけ出すことを目的としています。

方法

当施設をはじめJCOG1114C試験の参加施設で保管している腫瘍組織そのものを用いたり、腫瘍組織からDNAとRNAを抽出して解析に用います。また血液から抽出してバイオバンク・ジャパン(東京大学医科学研究所内)に保管されているDNAも用います。

本研究では腫瘍組織を用いて免疫染色という解析を進めるほか、抽出したDNAを用いて次世代シークエンサーという機器により、遺伝子に変異があるかどうかを解析したり、RNAを用いた発現解析という方法により、どのような遺伝子が機能しているのかを解析したりします。それらの解析の結果と、あなたにご参加いただいたJCOG1114C試験で収集された臨床情報をあわせて、例えば、将来、中枢神経系原発悪性リンパ腫と診断された時点で、予後や治療の効果が予測できるかの検討などを行います。

この研究はJCOG1114Cへの参加に同意いただいた患者さんを対象に参加をお願いしており、全体で約130人の患者さんが対象予定となっています。岡山大学病院では1人の患者さんを対象予定として実施させていただきます。

2) 予想される医学上の貢献及び研究の意義

この研究を行うことにより、MRIガイド下集束超音波治療が不適応と考えられた患者さんに対する定位脳手術の効果を解明することができ、これにより今後、本態性振戦患者さんが本治療を選択する上での判断材料の1つとなる可能性があります。

2.研究の方法

1) 研究対象者

2021年4月1日〜2025年12月31日の間に、薬物で十分な効果が得られない本態性振戦でMRIガイド下集束超音波治療が不適応と考えられた患者さんのうち、岡山大学病院で定位脳手術を受けられた方を対象として実施させていただきます。。

2) 研究期間

倫理委員会承認後~2026年12月31日

3) 研究方法

2021年4月1日~2025年12月31日の間に、薬物で十分な効果が得られない本態性振戦でMRIガイド下集束超音波治療が不適応と考えられた患者さんのうち、岡山大学病院で定位脳手術を受けられた方について、研究者が診療情報をもとに年齢、性別、診断名、罹病期間、治療の経過、身体所見、震えの重症度、認知機能、血液検査、画像検査などのデータを選び、定位脳手術の有効性と安全性に関する分析を行います。

4) 使用する情報

この研究に使用する情報として、カルテから以下の情報を抽出し使用させていただきますが、氏名、生年月日などのあなたを直ちに特定できる情報は削除し使用します。また、あなたの情報などが漏洩しないようプライバシーの保護には細心の注意を払います。

  • 年齢、性別、診断名、罹病期間、投薬内容、治療経過、既往歴、家族歴
  • 身体所見、震えの重症度、認知機能
  • 血液検査、尿検査
  • 画像検査

5) 試料・情報の保存、二次利用

この研究に使用した情報は、研究の中止または研究終了後5年間、岡山大学病院脳神経外科医局内で保存させていただきます。電子情報の場合はパスワード等で制御されたコンピューターに保存し、その他の情報は施錠可能な保管庫に保存します。なお、保存した情報を用いて新たな研究を行う際は、倫理委員会にて承認を得ます。

6) 研究計画書および個人情報の開示

あなたのご希望があれば、個人情報の保護や研究の独創性の確保に支障がない範囲内で、この研究計画の資料等を閲覧または入手することができますので、お申し出ください。

また、この研究における個人情報の開示は、あなたが希望される場合にのみ行います。あなたの同意により、ご家族等(父母(親権者)、配偶者、成人の子又は兄弟姉妹等、後見人、保佐人)を交えてお知らせすることもできます。内容についておわかりになりにくい点がありましたら、遠慮なく担当者にお尋ねください。

この研究は氏名、生年月日などのあなたを直ちに特定できるデータをわからない形にして、学会や論文で発表しますので、ご了解ください。
この研究にご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせください。また、あなたの試料・情報が研究に使用されることについて、あなたもしくは代理人の方(ご家族の方等も拒否を申し出ることが出来る場合があります。詳細については下記の連絡先にお問い合わせください。)にご了承いただけない場合には研究対象としませんので、下記の連絡先までお申し出ください。ただし、すでにデータが解析され、個人を特定できない場合は情報を削除できない場合がありますので、ご了承ください。この場合も診療など病院サービスにおいて患者の皆様に不利益が生じることはありません。

問い合わせ・連絡先

岡山大学病院 脳神経外科
氏名 佐々木達也
Tel 086-235-7336(平日:8時30分~17時00分)
Fax 086-227-0191

研究組織

研究代表機関名 岡山大学病院
研究代表責任者 岡山大学病院 脳神経外科 教授 伊達勲
共同研究機関 岡山旭東病院 脳神経外科 島津 洋介