臨床研究146

大後頭孔周辺の硬膜動静脈瘻の血管構築:骨内シャントの形態と治療結果に関する研究

当院において硬膜動静脈瘻の治療を受けられた方およびそのご家族の方へ

―「大後頭孔周辺の硬膜動静脈瘻の血管構築:骨内シャントの形態と治療結果に関する研究」へご協力のお願い―

研究機関名 岡山大学病院
研究責任者 岡山大学病院 脳神経外科 助教  平松匡文

研究の背景および目的

大後頭孔周囲は頭蓋骨と頸椎の間の関節を形成する部位であり、骨周辺や様々な静脈構造が存在します。それらの静脈は周囲の静脈との豊富な連続性を有し、頭蓋内外の静脈環流に重要な役割を担っています。さらにこの部位は硬膜動静脈瘻という血管病変が発生し、拍動性耳鳴などの症状を起こします。この領域に発生する硬膜動静脈瘻は、多くは顆管静脈系と呼ばれる静脈、特に舌下神経管内外に存在する静脈に高率に発生します。最近の研究では、この領域の静脈周囲には骨の内部を走行する静脈が高率に存在し、硬膜動静脈瘻が発生する際にはこれらの骨内静脈に動静脈瘻を形成する場合があることが報告されています。顆管静脈系に発生する硬膜動静脈瘻は、経静脈的塞栓術(静脈側からカテーテルを進めて塞栓物質を留置する方法)が第一選択となりますが、骨内に病変が存在する場合はそこを選択的に塞栓することで、より安全かつ確実な治療効果が期待できます。骨内病変の選択的塞栓には、その存在部位と頻度、走行、関与する動脈などの解剖学的は解析が必須となりますが、それを包括的に検討した大規模な研究はまだ行われていません。
本研究の目的は、多施設共同研究により、大後頭孔周囲の静脈のうち,骨内の静脈に動静脈瘻を形成する病変の画像上の解剖を明らかにし、より安全かつ確実な治療法を確立することです。

研究対象者

2013年1月1日~2022年3月31日の間に岡山大学病院および共同研究機関で脳血管撮影検査を受け、顆菅静脈系の硬膜動静脈瘻の治療を受けられた方100名、岡山大学病院脳神経外科においては治療を受けられた方7名を研究対象とします。

研究期間

倫理委員会承認後(2022年8月12日)~2023年12月31日

研究方法

当院において大後頭孔周囲の硬膜動静脈瘻の治療を受けられた方で、研究者が診療情報をもとに年齢・性別・症状・診断名・既往歴・投薬内容などのカルテ情報、治療内容、治療結果、CT画像、MRI画像、脳血管撮影画像のデータを選び、骨内病変の有無や血管構築、治療結果、治療後経過などに関する分析を行います。

使用する情報

この研究に使用する情報として、カルテから以下の情報を抽出し使用させていただきますが、氏名、生年月日などのあなたを直ちに特定できる情報は削除し使用します。また、あなたの情報などが漏洩しないようプライバシーの保護には細心の注意を払います。

  • 年齢、性別、症状、診断名、既往歴、投薬内容などのカルテ情報
  • 治療内容、治療結果、合併症、治療後経過
  • CT画像、MRI画像、脳血管撮影画像などの画像検査データ

外部への情報の提供

この研究に使用する情報は、以下の共同研究機関に提供させていただきます。提供の際、氏名、生年月日などのあなたを直ちに特定できる情報は削除し、提供させていただきます。

大阪大学大学院医学系研究科 脳神経外科学
所在地 〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2-2
Tel 06-6879-3652

情報の保存、二次利用

この研究に使用した情報は、研究の中止または研究終了後5年間、岡山大学病院脳神経外科内で保存させていただきます。電子情報の場合はパスワード等で制御されたコンピューターに保存し、その他の情報は施錠可能な保管庫に保存します。なお、保存した情報を用いて新たな研究を行う際は、倫理委員会にて承認を得ます。また、情報の提供先である大阪大学医学部脳神経外科学内においても、同じ期間、同様の手法で保存します。

研究計画書および個人情報の開示

あなたのご希望があれば、個人情報の保護や研究の独創性の確保に支障がない範囲内で、この研究計画の資料等を閲覧または入手することができますので、お申し出ください。
また、この研究における個人情報の開示は、あなたが希望される場合にのみ行います。あなたの同意により、ご家族等(父母(親権者)、配偶者、成人の子又は兄弟姉妹等、後見人、保佐人)を交えてお知らせすることもできます。内容についておわかりになりにくい点がありましたら、遠慮なく担当者にお尋ねください。
この研究は氏名、生年月日などのあなたを直ちに特定できるデータをわからない形にして、学会や論文で発表しますので、ご了解ください。

この研究にご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせください。また、あなたの情報が研究に使用されることについて、あなたもしくは代理人の方(ご家族の方等も拒否を申し出ることが出来る場合があります。詳細については下記の連絡先にお問い合わせください。)にご了承いただけない場合には研究対象としませんので、下記の連絡先までお申し出ください。ただし、すでにデータが解析され、個人を特定できない場合は情報を削除できない場合がありますので、ご了承ください。この場合も診療など病院サービスにおいて患者さんに不利益が生じることはありません。

問い合わせ・連絡先

岡山大学病院 脳神経外科
氏名 平松匡文
Tel 086-235-7336(平日:8時30分~17時30分)
Fax 086-227-0191

研究組織

主管機関名 大阪大学大学院医学系研究科 脳神経外科学
研究代表者 大阪大学大学院医学系研究科 脳神経外科学 講師 中村元

共同研究機関

  • 岡山大学病院 脳神経外科 平松匡文
  • 久留米大学病院 放射線科 田上秀一
  • 大分大学医学部 放射線科 徳山耕平
  • 筑波大学附属病院 脳神経外科脳卒中予防治療学講座 松丸祐司
  • 聖路加国際病院 神経血管内治療科 新見康成
  • 東海大学医学部 脳神経外科 Kittipong Srivatanakul
  • 慶応義塾大学病院 脳神経外科 水谷克洋
  • 熊本大学 画像動態応用医学共同研究講座 清末一路
  • 富山大学 脳神経外科 秋岡直樹
  • 藤田医科大学 脳神経外科 中原一郎
  • 京都大学 脳神経外科 石井暁
  • 広南病院 血管内脳神経外科 松本康史
  • 虎の門病院 脳神経血管内治療科 鶴田和太郎
  • 昭和大学藤が丘病院 脳神経外科 津本智之