脳腫瘍手術の術中MRI撮影
術中画像の必要性
脳腫瘍の治療において、手術の目的は、最大限の腫瘍摘出と、最大限の機能温存です。つまり、確実かつ安全な 手術が望まれます。通常は、術前に撮影されたMRI等の画像をみて計画をたて、手術に臨みます。ところが手術 中には、腫瘍が徐々に摘出されてくると、状況は変化していき、術前の画像情報は役に立たなくなってきます。そこで、途中の状況を確認するためのリアルタイムの画像情報が必要になります。術中MRIは、手術の途中で撮 影することによって、手術の進行状況を把握し、安全で確実な腫瘍摘出に貢献します。 このような、術中MRI撮影は、特別な機器と設備、高度な安全管理が要求されるため、国内でもまだ導入されて いる施設は限られています。当院の導入は、国内の大学病院では11番目になります。
1.導入設備
手術室
総合診療棟1階のIVRセンター内にて手術を行います。ここには、手術室と同等の清潔度を保つシステムが導入されています。
1.2テスラオープン型 MRI
MRI撮影機は、国内で最大磁場(1.2テスラ)を誇るオープン型MRIが設置されています。
2.実際の撮影の流れ
まず、術前の画像情報をもとにナビゲーションの登録を行い、この情報をたよりに、腫瘍を摘出します。
ほぼ腫瘍が摘出できたと判断した時点で、術中MRI撮影を行います。
この撮影により、手術に用いるナビゲーションの情報もアップデートします。
3.安全管理
術中MRI撮影は、高磁場の中で行われますので、磁性体の持ち込みはできません。手術では多くの金属機器が使われますが、撮影時のトラブルを避けるため、高度な安全管理が要求されます。当院では、専門チームを編成し、詳細なマニュアルを作成して、安全第一で行っています。