杉生 憲志(准教授)
1987年、久留米大学卒業後すぐに地元である岡山の当局に入局。初期研修後は岡山大学大学院に戻って脳血管の研究に励みました。
3年間留学したスイス・ジュネーブ大学神経放射線科(Rufenacht教授)では臨床と研究の双方に従事。ヨーロッパの最先端の血管内治療を多数経験できました。脳血管障害、中でも脳血管内治療は1991年と国内でも非常に早い時期から従事しており、ライフワークでもあります。
現在は脳神経外科・IVRセンターの准教授として、中四国随一の臨床例(血管内治療)に携わるとともに、脳血管障害の研究に関して大学院生の指導にあたっています。
学外では地元のサッカーチーム「ファジアーノ岡山」のチームドクターも務めています。
脳は全身の臓器をすべてコントロールする崇高かつ神秘的な臓器。メスやカテーテルで脳神経病変を治療する脳外科医の責任は非常に大きく大変ですが、それ以上にやりがいのあるものと考えています。
また、脳は人体の中で最も複雑で未解明の部分が多い「人体最大のブラックボックス」。探究心の強い若者にとって魅力が大きい研究分野であると思います。
日本脳神経外科学会総会を過去3回開催しているほど、プレゼンス・信頼が高い当局で、人体のラスト・フロンティアである脳を、手術というアートで治療してみませんか。
私の指導について
- 「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。 話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。 やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。」
- 研究と臨床の両方がバランス良く向上できる”academic neurosurgeon”を育てます。
臨床では開頭術と血管内治療の両面を担える「二刀流術者」を育てます。その過程で奇をてらわず、常に王道・正道を歩むよう指導しています。 - 経済的恩恵が受けられるよう配慮します。仕事量に対して収入が見合わないと思われないように。
入局を考えている方へのメッセージ
開頭術中の脳や脳血管撮影の写真を見て「美しい!」と思える人は脳神経外科医になる素質があると考えています。
人体最後のブラックボックスである「脳」。その疾患を外科的手法で治療する脳神経外科医は多忙ですが、やりがいのあるものです。外科的治療以外にも、内科的治療やリハビリを含めて担当する守備範囲が広く、生涯を通して脳神経に関する疾病全体を診ることが可能です。研修医は脳外科病変のほぼすべてを短期間に経験できるとともに、各分野のスペシャリストから直接指導を受けられます。また、海外留学が盛んでオープンマインドで国際的・学際的な雰囲気にあふれています。
伝統と格式ある医局ですが堅苦しい雰囲気はなく、学生の選択実習希望も学内トップ!スポーツと宴会を愛する明るい医局です。
実績があり、日本有数のチーム医療を実践している我々といっしょに楽しく働きましょう。
安原 隆雄(准教授)
「脳神経外科の病棟管理は病態理解に基づき、手術は脳神経解剖に基づく。」一見ややこしそうですが、その実はいたってシンプル。「学習したことや経験が患者さまの治療に直結する」ということです。どの科においても内科的・外科的を問わず、治療(手術)によって患者さまの生活や人生を、大きく良い方に向けてあげられるかもしれません。
脳神経外科の扱う領域はまだまだ未知の部分が大きいです。その分、基礎研究・臨床研究いずれの領域でも、自分たちの研究を日本はもとより世界に向けて発信していくことができるので、患者さまのために役立つ可能性を秘めていると感じます。
岡山大学脳神経外科は、ほぼすべての脳神経外科診療を高い次元で行うことができる数少ない大学病院。基礎研究や臨床研究も幅広くおこなっていて、様々な志向をもつメンバーが様々な分野に延びていくことができます。最先端で高水準の医療にふれることができる一方、歴史に培われた、あたたかく人にやさしい医療が根付いていると感じます。先輩も同僚も後輩も、医局員はみんな思いやりのある優しい仲間。一つの方向に向かって、一丸となって進んでいくことができると思います。
私の指導について
- 丁寧に説明し、一緒に考えることを大切にしています。言葉にして物事の「分かる化」を図ります。
- 目先の些細なことよりも、全体像を捉えるようにしてほしいと思っています。
- 手技や手術に対する責任感を大切にする指導をしています。
- 困った時は気軽に相談してほしいので、適度な距離感を心掛けています。
入局を考えている方へのメッセージ
「心・技・体」のどれ1つ欠けても正しい医療を行うことはできません。私は「自分が幸せじゃないと、患者さんを幸せになんてできない」という、昔教えてもらったモットーを胸に、厳しい状況でも明るさを忘れないように診療に取り組んでいこうと考えています。
未来を切り拓いていくには、自分の安全なComfort zoneから一歩踏み出す勇気をもってほしいと思います。反対に、与えられた環境でいかに楽しくかつ世の中に役立つためにはどのように過ごせばよいかを常に考えることも大切にしてほしいです。
伊達勲教授は、若い先生の意見や新しい取り組みも取り入れていこうというお考え。カンファレンスなどでは遠慮せず意見を言いやすい空気があると思います。自分の医師としての人生を考える時に、私たち岡山大学脳神経外科が選択肢にあると嬉しいです。いつかどこかで道が交わることがあるかもしれません。
学生の方、若い先生方、どうぞ、自分のしたい領域・興味をもった領域で頑張ってください。自分の信じた道であれば、そのことが、しんどい時にきっとあなたを助けてくれますから。
佐々田 晋(助教)
後期研修医時代を過ごした岩国医療センターでの経験から、脊椎脊髄領域の道に踏み込む決意をしました。
専門医になってからは、津山中央病院脳神経外科で脊椎診療を立ち上げるという経験もさせていただきました。
現在は、脳神経外科で脊椎脊髄診療に関わるとともに、正常圧水頭症領域の診療にも力を入れております。私は元来、機能疾患の研究をする移植ステレオグループに属していたので、手術で神経症状を改善するいう仕事に携われていることを大変嬉しく思っています。
脊椎動物の「動く」「考える」という行為は、脳脊髄という神経があるからこそ。どの臓器にも興味深い面があると思いますが、脳脊髄は動物が動物であるための、また人間が人間であるための最も重要な臓器だと思います。その脳脊髄に対して外科的治療をすることにより、神経症状が改善される可能性があると考えると、とてもエキサイティングな科ではないかなと思っています。
私の指導について
- 外科は、自分たちの手技によって患者さまを傷つけてしまったり、症状を悪化させてしまうこともあり得るので、より安全な手術の手技を伝えられるようにしています。
- 私自身が若い頃、上級医の先生に声を掛けること遠慮してしまうこともあったので、極力声を掛けやすい雰囲気を作るよう心掛けています。
- 自分が行っていることの理解を深めるために、学会発表の準備をしっかり行ってほしいと思います。学会発表にはどの先生積極的に参加しているのでサポート体制も整っています。
入局を考えている方へのメッセージ
どの分野にも、治らない病気や症状を抱えた患者さまがおられます。そういった患者さまに対して優しい医師であってほしいと思います。あたたかい心をもって接すれば、必ず患者さまを勇気づけることができると信じています。
幅広い分野をカバーするのが脳神経外科。必ず自分に向いている分野が見付かると思います。
また、大学病院には多彩な症例が集まります。やる気さえあれば、どの手術でもどの手技でも受け入れてもらえます。
先輩後輩の関係も良好だと感じています。私自身、後輩の先生に支えられていると感じますし、後輩の先生方も私のことを気に入ってくれている(?)と勝手に思っています。
少しでも脳神経外科に興味のある方は、ぜひ見学に来てみてください。
平松 匡文(助教)
2015年、脳神経外科学会の専門医取得後に当科助教を拝命。2017年に脳神経血管内治療学会・脳卒中学会の専門医、その後それぞれの指導医を取得しています。
学内では脳脊髄の血管障害(特に動脈瘤、動静脈瘻や動静脈奇形等のシャント疾患)に対する直達術・血管内治療を含めた診療と、専攻医・後期研修医への指導を行っています。
また、血管グループの大学院生が行っている基礎・臨床研究も指導しています。
学外では、臨床研究の学会・論文発表のほか、脳神経血管内治療学会で開催される稀少疾患に対する多施設共同研究に、検討メンバーとして毎年参加しています。
また、岡山県内の主要病院などの脳血管内治療専攻医を主な対象とした血管解剖勉強会を、2016年から2-4ヶ月に1回のペースで開催してきました。
脳神経外科の醍醐味は、幅広く包括的に患者さまを診療できることだと思います。とくに血管障害は急性期から慢性期にかけて、診断・救急診療・手術・血管内治療・術後管理・経過観察に至るまで、自分でマネージメントしながら主体的に患者さんに関わっていくことになります。トラブルに自力で対処しなくてはいけないので判断力や対応力が問われますが、これこそが脳神経外科ならではの大きな魅力ともいえます。
勉強や研究をすればするほど、さらに知らないことや分からないことが出てくる奥の深さが学問的な魅力だと感じます。
一般市中病院で診療する機会が少ない稀な疾患(治療困難な動脈瘤や動静脈シャント疾患など)の症例数が豊富で、難しい症例をベースに診断・治療の基本的な考え方や知識を学んでいくことができます。
私の指導について
- 複雑な病態の疾患をもつ患者さんに出会った時、詳細な画像診断をもとに、自力で病態を考えて治療を計画できるようになることを目指しています。
- カルテやサマリーはコピペではなく、自分の言葉で論理的かつ簡潔に記載できるようになってほしいです。そのような先生は臨床医としての成長がとても早いと感じます。
入局を考えている方へのメッセージ
脳神経外科では、脳血管障害に対して症候・解剖・病態・画像を含めた診断学を学ぶことができます。治療においては、開頭手術・血管内治療・内科治療の急性期治療からリハビリ、二次予防治療の全てを経験することができます。このように、一つの疾患群に対して自力で診断から治療までを包括的に診療できる科は他にないのでは?
とくに脳血管内治療は脳神経外科のsubspecialityの中で最も勢いがある分野の一つですが、当科では複数の脳血管内治療指導医が在籍しており(2022年時点で4名)、多角的な指導を受けることができます。
さまざまなことを自分で行う必要がありますし、緊急治療が多いので忙しいですが、脳卒中にいっしょに立ち向かっていってくれる責任感のある仲間が増えることを期待しています。
石田 穣治(助教)
姫路赤十字病院での初期研修後、1年間の小児科専修を経て岡山大学脳神経外科へ入局しました。埼玉医大国際医療センター脳脊髄腫瘍科での臨床経験や、留学先のトロント小児病院での小児脳腫瘍の研究経験をもとに、現在は小児を含む良性および悪性脳腫瘍、小児奇形疾患、間脳下垂体腫瘍の臨床、臨床研究を中心に携わっています。
当科は新生児から高齢者まで、多様な疾患をカバーしています。脳の成長発達や治療による神経への侵襲と、神経の回復力や可塑性を考えなければならない奥深い分野だと思います。数ある科のなかでも楽な分野ではないと思いますが、その分やりがいや達成感が得られる場面も多いです。
私の指導について
- 経験年数によって指導内容を考慮します。はじめは基本的なこと、クリティカルなことを中心に指導し、経験を積むにつれて自身で考える力を身に着けてもらうようにしています。
- 若い先生を指導する中で気づかされることも多々あります。私自身も教えられる側でもあるということを自覚するようにしています。
入局を考えている方へのメッセージ
多くの関連施設があり、留学なども奨励している医局だと思います。
研修において完璧な環境はありません。しかし、置かれた環境で精一杯がんばることで未来が見えてくることもあります。
それぞれ個性があり、仕事ができるようになるスピードも違うと思いますが、真摯に向き合う研修医は、みな確実にスキルアップしてきたと感じています。
医療事故は避けなければなりませんが、失敗から学ぶことも多いです。失敗を恐れすぎず、目標をもっていっしょに学んでいきましょう。
佐々木 達也(助教)
広島市民病院で初期研修および後期研修を行った後、岡山大学大学院にてパーキンソン病モデルラットに対する抗体治療の研究を行ってまいりました。
その経験を生かし、現在はニューロモデュレーション治療の基礎研究および臨床研究を行いつつ、てんかん、不随意運動症、痛み、痙縮などに対する外科治療に従事しています。学外ではふるえに対する集束超音波治療にも力を入れております。
機能神経外科は手術前後で劇的な症状改善(機能改善)が得られ、患者さんの人生を変えることができる分野。手術の責任は重いですが、それ以上にやりがいがあると感じています。
私の指導について
- 手術適応から手術手技のポイント、術後のケアにおける重要点を指導します。
- 自立を促しています。
入局を考えている方へのメッセージ
症例が豊富で多くの手術が経験できます。また、サブスペシャルティを極めることのできる環境も整っているので、脳神経外科医としてぐんぐん成長できると思います。
当教室は豊富な手術症例があり、専門性を高めた指導医も多数在籍。自分の思い描く脳神経外科医のロールモデルとなる先生もきっといると思います。いっしょに働けることを楽しみにしています。
春間 純(助教)
大学院での基礎研究や福山市民病院脳神経外科医長、フランスへの留学経験を経て、現在は医学生への教育医長を務めています。どの研修医も本当に熱心で、臨床でも研究でも全力で協力してくれます。
脳神経外科は専門性が高く、脳腫瘍や脳血管障害以外にも、脊椎疾患、てんかん外科や定位脳手術といった幅広い疾患を扱います。
常に最新技術を導入しており、手術支援機器や手術方法など革新的な分野でもあります。今後は再生医療の応用やロボット手術導入など、「未来の医療を担う科」と言えるのではないでしょうか。
いずれの分野も症例数は中四国随一。各領域の専門学会でも理事を努めている先生も多く、各部門が全国トップクラスです。
卒後年数が短くても、やりたい事があればそれを実行させてくれる環境も整っています。
私の指導について
- 「自分が研修医だった頃はどうしたかった?」という視点で指導に当たっています。
- 後輩のモチベーションが保てるように、厳しく・楽しくを心掛けています。
入局を考えている方へのメッセージ
岡山大学脳神経外科は、各専門分野とも全国屈指の選択肢を誇ります。臨床のみならず基礎研究分野でも活躍している人材が豊富で、何よりも同世代のメンバーが多くいます。
もし自分自身の目標が定まっているのであれば、その目標を達成できるよう指導・教育を行います。
海外留学経験者も多数在籍していますので、留学に興味がある方にもぜひおすすめです。
大谷 理浩(助教)
岡山大学卒業後、研修を経て大学院へ進学しました。大学院では脳腫瘍に関する研究に従事し、約3年間米国ヒューストンへ留学。脳腫瘍に対する免疫療法に関する研究を継続しました。帰国後は岡山大学病院などでの研修を経て、現在は脳腫瘍の診療と研究にあたっています。
臨床では、おもに脳腫瘍患者さまの手術や放射線化学療法などを担当しています。脳腫瘍の診療は放射線科や小児科、病理診断科などさまざまな診療科との協力が必須。患者さま一人ひとりに最適な治療が提供できるように診療を行っています。また、ゲノム医療や他施設と連携した臨床試験等にも取り組んでいます。
研究では、岡山大学内外の研究室や海外の研究室と協力し、新しい治療法の開発や臨床応用に取り組んでいます。脳神経外科以外の分野とも広く連携して共同研究をすすめています。
脳は未だその全容が解明されておらず、脳神経外科で扱う疾患についても、診断方法や治療法は日々進歩しています。脳神経外科は手術などの外科的要素だけでなく、内科的要素も多い診療科。脳卒中や腫瘍、外傷、機能外科、脊髄外科など多彩な分野をカバーしているため、幅広い知識や経験が得られることも醍醐味だと思います。
脳神経外科で扱う全分野の症例が経験できるのが大学病院の強み。血管外科、血管内治療、腫瘍、機能外科、脊髄外科など、各分野の指導医から教わる機会も多くあります。
また、海外留学(基礎、臨床)をする先生が多いことも脳神経外科の特長だと思います。
私の指導について
- 脳腫瘍という疾患は、患者さまによっては一生付き合っていかなくてはならない場合もあります。疾患に関する知識や手術手技だけでなく、患者さまの生活に寄り添った診療ができるように指導をしています。
- 日々の診療で感じたクリニカルクエスチョンをいっしょに解決していく様にしています。
入局を考えている方へのメッセージ
脳神経外科は、脳や脊髄疾患に対して外科的手技や内科的治療を組み合わせて診療を行う科です。とくに脳腫瘍は、手術以外にも放射線治療や化学療法など、さまざまな知識が求められます。近年は分子生物学的な進歩により脳腫瘍の診療も大きく変化しており、これまで治療困難であった疾患にも新規治療法などが見つかっています。また、手術に関しても内視鏡治療など、新たな手術手技等が出てきています。
日々進歩する脳神経外科診療に興味をもっていただき、若い先生方といっしょに診療や研究ができることを楽しみにしています。