臨床研究114

頭蓋内硬膜動静脈瘻における硬膜内脳動脈からの供血の血管構築とその臨床的重要性:多施設共同研究(Clinical significance and angiographic features of pial arterial supply to intracranial dural arteriovenous fistulas: a multicenter retrospective study)

2013年1月1日~2020年4月30日の間に当科において硬膜動静脈瘻の治療を受けられた方、及びそのご家族の方へ
―「Clinical significance and angiographic features of pial arterial supply to
intracranial dural arteriovenous fistulas: a multicenter retrospective study(頭蓋内硬膜動静脈瘻における硬膜内脳動脈からの供血の血管構築とその臨床的重要性:多施設共同研究)」へご協力のお願い―

研究機関名 岡山大学病院
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
研究機関長 岡山大学病院長 金澤右
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科長  大塚愛二
研究責任者 岡山大学病院 脳神経外科 助教 平松匡文
研究分担者 岡山大学病院 IVRセンター 准教授 杉生憲志

1.研究の概要

1) 研究の背景および目的

頭蓋内硬膜動静脈瘻(intracranial dural arteriovenous fistulas: 以下DAVF)は、時に頭蓋内出血などの重篤な症状を来すことから、その診断と治療は重要です。DAVFは通常は外頚動脈から分岐した硬膜動脈や硬膜の外側の動脈から血流を受けており(このことを供血と呼びます)、多くの病変は塞栓術で根治するとされています。しかし、一部の症例では硬膜内の脳動脈から血流を受けており(pial arterial supply)、その様な病変では血管内治療での根治が困難であることが予測されますが、多数例での研究報告はありません。また、pial arterial supplyを伴う病変では、血管内治療の合併症の頻度が高くなるとの報告もみられますが、いまだ結論は出ていません。

また、従来pial arterial supplyと総称されているものには、正常でも認められる硬膜内動脈から枝分かれした硬膜動脈から血流を受ける場合と、DAVFにより二次性に惹起されたと思われる、正常では認められない硬膜内動脈から血流を受ける場合の2種類が存在します。それらの血管構築の違いにより、血管内治療におけるリスクや治療成績が異なると推測されますが、血管構築と血管内治療の治療成績を検討した報告はありません。

本研究では、pial arterial supplyを伴うDAVFについて多施設の症例を集積し、その血管構築と治療結果について診療情報を元に検討することにより、その特徴と血管内治療の成績を明確にします。

2) 予想される医学上の貢献及び研究の意義

この研究を行うことにより、pial arterial supplyを伴う頭蓋内DAVFに対する治療が、より安全かつ有効に行われる一助になると考えられます。

2.研究の方法

1) 研究対象者

2013年1月1日~2020年4月30日の間に岡山大学病院および共同研究機関で、血管撮影にて確定診断された硬膜動静脈瘻患者のうち、血管造影または手術所見にてpial arteryの関与が認められ、かつ画像データが参照可能な方約80名、岡山大学病院脳神経外科においては約10名を研究対象とします。

2) 研究期間

倫理委員会承認後~2023年4月30日

3) 研究方法

2013年1月1日~2020年4月30日の間に当院において硬膜動静脈瘻の治療を受けられた方で、研究者が診療情報をもとに患者背景、治療内容、治療結果、血管撮影上の血管構築などのデータを選び、pial arterial supplyの血管構造とpial arterial supplyを伴う病変の治療結果に関する分析を行い、合併症が出現する仕組みについて調べます。

4) 使用する情報

この研究に使用する情報として、カルテから以下の情報を抽出し使用させていただきますが、氏名、生年月日などのあなたを直ちに特定できる情報は削除し使用します。また、あなたの情報などが漏洩しないようプライバシーの保護には細心の注意を払います。

  • 患者背景(年齢、性別、症状)
  • 血管構築(DAVFの存在部位、DAVFの分類、pial arterial supplyとその起始動脈と部位・分類、pial arterial supplyの流入部位)
  • 治療内容(外科的離断術、塞栓術、保存的加療)、塞栓術の場合には塞栓方法
  • 治療結果(DAVFが閉塞したか、残存したか)、合併症、臨床転帰

5) 外部への情報の提供

この研究に使用する情報は、以下の共同研究機関に提供させていただきます。提供の際、氏名、生年月日などのあなたを直ちに特定できる情報は削除し、提供させていただきます。

研究事務局
京都大学脳神経外科学講座
所在地 〒606-8507 京都市左京区聖護院川原町54
Tel 075-751-3111

6) 情報の保存、二次利用

この研究に使用した情報は、研究の中止または研究終了後または研究結果の最終の公表後10年間、研究事務局および各共同研究機関で厳重に保管されます。岡山大学病院では脳神経外科(臨床研究棟9階脳神経外科医局 准教授室内)で保管させていただきます。電子情報の場合はパスワード等で制御されたコンピューターに保存し、その他の情報は施錠可能な保管庫に保存します。
なお、保存した情報を用いて新たな研究を行う予定はありません。
廃棄の際には、個人情報に十分注意して、電子情報はコンピューターから完全抹消し、紙媒体(資料)はシュレッダーにて裁断し廃棄します。

7) 研究計画書および個人情報の開示

あなたのご希望があれば、個人情報の保護や研究の独創性の確保に支障がない範囲内で、この研究計画の資料等を閲覧または入手することができますので、お申し出ください。
また、この研究における個人情報の開示は、あなたが希望される場合にのみ行います。あなたの同意により、ご家族等(父母(親権者)、配偶者、成人の子又は兄弟姉妹等、後見人、保佐人)を交えてお知らせすることもできます。内容についておわかりになりにくい点がありましたら、遠慮なく担当者にお尋ねください。

この研究は氏名、生年月日などのあなたを直ちに特定できるデータをわからない形にして、学会や論文で発表しますので、ご了解ください。

この研究にご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。また、あなたの試料・情報が研究に使用されることについて、あなたもしくは代理人の方にご了承いただけない場合には研究対象としませんので、2020年10月31日までの間に下記の連絡先までお申し出ください。この場合も診療など病院サービスにおいて患者の皆様に不利益が生じることはありません。

問い合わせ・連絡先

岡山大学病院 脳神経外科
氏名 平松匡文
Tel 086-235-7336(平日:8時30分~17時15分)
Fax 086-227-0191

研究組織

研究代表機関名 大分大学医学部附属病院放射線部
研究代表責任者 大分大学医学部附属病院放射線部 准教授 清末一路
共同研究施設研究事務局 京都大学脳神経外科 講師 石井暁
京都大学脳神経外科 助教 大川将和
共同研究機関
  • 聖路加国際病院神経血管内治療科 部長 新見康成
  • 筑波大学脳神経外科脳卒中予防・治療学講座 教授 松丸祐司
  • 岡山大学病院 脳神経外科 助教 平松匡文
  • 東海大学脳神経外科 講師 Kittipong Srivatanakul
  • 国立循環器病センター脳神経外科 医長 佐藤徹
  • 藤田保健衛生大学脳卒中センター 教授 中原一郎>
  • 富山大学脳神経外科 講師 秋岡直樹
  • 大分大学放射線科 助教 井手里美
  • 久留米大学放射線医学講座 講師 田上秀一
既存情報の提供のみを行う機関
  • 昭和大学藤が丘病院脳神経外科 教授 津本智幸
  • 虎の門病院脳神経血管内治療科 部長 鶴田和太郎
  • 小倉記念病院脳神経外科 部長 波多野武人
  • 広南病院血管内脳神経外科 医長 佐藤健一
  • 永富脳神経外科病院放射線科 部長 堀雄三
  • 神戸中央市民病院脳神経外科 医長 今村博敏
  • トロント大学放射線科 教授 Timo Kring