教授挨拶

岡山大学脳神経外科ホームページへようこそ

みなさん、こんにちは。
岡山大学脳神経外科は、開講以来56年を迎えました。昭和41年(1966年)に全国で4番目の脳神経外科教室として誕生した、伝統ある教室です。現在365名の脳神経外科医が当教室の同門会員であり、中国・四国・近畿を中心に88の関連病院で活躍しています。

岡山大学脳神経外科教授 田中 將太


患者の皆様へ

最先端の機器・技術を駆使した安全で確実な脳神経外科手術を行っており、現在年間の手術件数は約550件となっています。この数字は全国の国立大学病院の中で5本の指に入る数字です。良好な手術成績が患者の皆様の評価をいただいていることが大きな要因と存じます。当科の手術室には最先端の映像システムが導入されており、高性能顕微鏡、4K,・3Dモニター, ナビゲーション、内視鏡、外視鏡などを駆使しています。 また、術中MRIやハイブリッド手術室(血管の手術に使います)も備わっています。

より低侵襲な手術としての脳神経血管内手術(血管の中から行う脳血管障害の治療です)は日本最大級のIVRセンターで行っており、年間150件に及びます。

脳腫瘍の手術

術中ナビゲーションシステム、覚醒下手術、脳機能モニタリングなどを駆使し、高い摘出率を得ています。多くの良性脳腫瘍は、手術による完治を目指しています。2010年からは神経内視鏡を用いたより低侵襲な手術に取り組んでおり、特に下垂体腺腫やトルコ鞍近傍の腫瘍で有用です。悪性脳腫瘍では、術後の化学療法や放射線療法を腫瘍内科、放射線科などと共同で行っています。

小児脳腫瘍も多く扱っており、小児科との協力により、良好な成績を得ています。

脳血管障害の手術

脳動脈瘤の手術では、開頭によるクリッピング術と血管内から治療するコイル塞栓術を、症例ごとに適切な判断をして行っています。頚部頚動脈狭窄症に対しては、狭窄を起こしているプラークの性状などにより、頚動脈血栓内膜剥離術(CEA)と頚動脈ステント留置術(CAS)を使い分けますが、近年は低侵襲である利点からCASが行われることが多くなっています。また、当科は多くのもやもや病患者さんの治療を行っており、中心となっているのが血管吻合術です。いずれの脳血管障害の手術も良好な治療成績です。

パーキンソン病に対する脳深部刺激療法・FUS(集束超音波治療)

当科はパーキンソン病に対する手術について、教室開設以来50年以上にわたって行ってきており、その総計は1,000症例を超えています。中国四国のみならず全国から多くの患者さんが来ています。運動障害が著明で、一日の中で症状の変動の激しい重症のパーキンソン病患者さんには脳深部刺激療法を行っています。

パーキンソン病の中でも震えが強い患者さんには、最近FUSという治療が行われる様になりました。これはMRIのもと、超音波を用いて脳の深部を熱凝固する方法で、低侵襲なところから普及がすすんでいます。

三叉神経痛・顔面けいれんの手術

片側の顔面の痛みやピクつきは、脳幹部での三叉神経や顔面神経が小さな血管によって圧迫を受けることによって起こります。最新技術を駆使したMRI画像によってその原因が血管の圧迫によることが判明すると、その血管を手術で動かすことによって完治が期待出来ます。当科ではこの手術を多く行っており、90%以上の完治率です。

小児脳神経外科

小児の脳腫瘍やもやもや病については、すでに述べました。それに加えて小児では、生まれつき脳室が大きい水頭症や、頭蓋骨が早い時期に閉じてしまう頭蓋骨早期癒合症など特殊な病気があります。これらに対して脳室腹腔シャント術、第3脳室底開窓術、頭蓋形成術などを行っています。特に頭蓋骨早期癒合症については、岡山大学病院に小児頭蓋顔面形成センターを設置し、形成外科や矯正歯科と協力して総合的な治療を行っています。最近はこのセンターが広く知られるようになり、また、MCDO法という効果的な手術法を行っていることもあって、治療を希望される患者さんが増えています。

てんかんの手術

岡山大学小児神経科は全国で最も多くのてんかんの患者さんを治療している教室の一つです。その中で外科治療によっててんかんが良くなる患者さんがかなりおられ、当科ではこれらの患者さんに外科治療を行い、多くの患者さんが発作が消えたり少なくなるなどの効果をあげています。成人についても外科的治療が有効な側頭葉てんかんの患者さんが多くおられ、ビデオと脳波を同時に記録するなどの重要な検査を行った上で手術を行って治癒を目指しています。

脊椎・脊髄手術

脳神経外科の重要な領域の一つが脊椎・脊髄手術です。脳神経外科は脳と神経の外科ですので、脊椎・脊髄疾患も対象として多くの手術を行っています。両手や両足がしびれたり、使いにくくなる頚椎症や脊椎管狭窄症の手術に加えて、脳神経外科では、脊髄硬膜動静脈瘻などの血管障害や、脊髄の髄内・髄外腫瘍など特殊な疾患を多く手術しています。顕微鏡を用いて、脳の手術と同様に繊細で安全な手術を心がけています。

脳外傷の手術

岡山大学の救命救急センターには多くの外傷患者が救急搬送されます。その中のかなりの患者さんには頭部に外傷があり、急性硬膜下血腫や急性硬膜外血腫と呼ばれるような、緊急の手術が必要となる状態の場合もよくあります。私たちは救命救急科の医師と密にコンタクトをとって、患者さんの状態に応じて緊急手術に対応しています。

岡山大学あるいは連携・関連施設での研修希望の皆様へ

日本脳神経外科学会は脳神経外科専門医になるための新しい研修プログラムを2011年に開始しました。1つの基幹施設のもとに、連携施設と関連施設が集まり、1つのプログラムを形成する、というものです。脳神経外科の専門医資格を得るためには、全国に約100ある研修プログラムのどれかに属し、通算4年間の研修プログラムをこなす必要があります。岡山大学脳神経外科では岡山大学脳神経外科を基幹施設とし、連携施設が21、関連施設が14、と全国最大規模の研修プログラムを作ることができました。これは、従来から岡山大学が多くの関連病院と連携して若い研修医のトレーニングを行ってきた事の反映です。将来脳神経外科専門医を目指す医学生の皆様、初期研修医の皆様に十分な研修をしていただける連携施設・関連施設が集まっていますので、どうぞ希望の方は、岡山大学脳神経外科 neuro104@md.okayama-u.ac.jpまでご連絡ください。

岡山大学脳神経外科の入局者は、2008年4名、2009年4名、2010年9名、2011年6名、2012年4名、2013年6名、2014年2名、2015年7名、2016年5名、2017年9名、2018年5名、2019年12名、2020年8名、2021年5名、2022年2名です。