臨床研究162

成人pial arteriovenous fistulaの特徴に関する全国調査(多施設共同後ろ向き研究による実態調査)

「成人pial arteriovenous fistulaの特徴に関する全国調査(多施設共同後ろ向き研究による実態調査)」に対するご協力のお願い

このたび当院では上記の医学系研究を、慶應義塾大学医学部倫理委員会の承認ならびに研究機関の長の許可のもと、倫理指針および法令を遵守して実施します。
今回の研究では、同意取得が困難な対象となる患者さんへ向けて、情報を公開しております。なおこの研究を実施することによる、患者さんへの新たな負担は一切ありません。また患者さんのプライバシー保護については最善を尽くします。
本研究への協力を望まれない患者さんは、その旨を「お問い合わせ」に示しました連絡先までお申し出下さいますようお願いいたします。

対象となる方

2013年1月1日から2023年12月31日までに下記の病院を受診したpial AVF患者の方
慶應義塾大学病院、熊本大学病院、久留米大学病院、名古屋大学病院、岡山大学病院、大阪大学病院、東京大学病院、虎の門病院、東邦大学医療センター大森病院、横浜市立市民病院、横浜栄共済病院

研究課題名

承認番号 20231225
研究課題名 成人pial arteriovenous fistulaの特徴に関する全国調査(多施設共同後ろ向き研究による実態調査)

研究組織

研究代表機関 慶應義塾大学医学部脳神経外科
研究代表者 専任講師 秋山武紀

共同研究機関・研究責任者

  • 熊本大学医学部脳神経外科 助教 賀来泰之
  • 久留米大学医学部放射線科 准教授 田上秀一
  • 名古屋大学医学部脳神経外科 准教授 泉孝嗣
  • 岡山大学医学部脳神経外科 助教 平松匡文
  • 大阪大学医学部脳神経外科 特任助教 尾崎友彦
  • 東京大学病院脳神経外科 助教 小泉聡
  • 虎の門病院脳血管内治療科 部長 鶴田和太郎
  • 東邦大学医療センター大森病院脳神経外科 講師 近藤康介
  • 横浜市立市民病院脳血管内治療科 部長 増尾修
  • 横浜栄共済病院脳卒中・神経センター脳神経外科 医長 森健太郎

本研究の目的、方法

Pial arteriovenous fistula(pial AVF)は、脳動脈と脳静脈が直接接続する病気です。脳を覆う軟膜の下に、高流量の動静脈のつながりができます。全ての脳血管奇形のうち、1.6-4.8%を占めると報告されている非常に稀な病気です。1,2 ほとんどのpial AVFは先天性の病気と考えられており、遺伝的な要因や胎児期の成長の異常が関与している可能性がありますが、具体的な原因はまだ明らかにされていません。一部の場合には、遺伝性毛細血管拡張症やCapillary-arteriovenous malformationとの関連が見られます3が、遺伝子の変化の頻度や症状との関係などははっきりしていません。また、成人では後天的(生まれつきでない)に発生するpial AVFの報告もあるものの、その頻度や特徴に関するデータは限られています。

この研究では、pial AVFについて、臨床的な特徴や血管構築の分類、治療方法、治療の成果などに関する情報を、国内の専門医療機関で協力して収集します。症例数が非常に少ないまれな病気であるため、全国でデータをまとめ、その特徴を分析することで、医療現場で各医師が適切な検査と治療を提案できるようになり、pial AVFの診療に関する貴重な情報が提供されることが期待されます。

協力をお願いする内容

過去に受診された際の診療録と画像および各種検査所見から、症状の有無、画像所見、治療の状況、および遺伝子検査結果などを調査させていただきます。特に患者さんに新たにご負担いただくことはありません。まず各施設において匿名化してから患者さん毎に調査票が作成されます。次に調査票は慶應義塾大学大学医学部脳神経外科にある研究事務局に郵送され、集計されます。この研究のために使われる健康状態や治療についての情報などは匿名化し、個人が特定されない状態で本研究終了後も適切に管理、保存します。それらは研究目的以外には一切使用しません。情報提供を行う共同研究機関は以下の通りです。

慶應義塾大学病院、熊本大学病院、久留米大学病院、名古屋大学病院、岡山大学病院、大阪大学病院、東京大学病院、虎の門病院、東邦大学医療センター大森病院、横浜市立市民病院、横浜栄共済病院

本研究のデータ・結果の取り扱いについて

本研究のデータおよびその結果の所有権は慶應義塾大学に属し研究協力者の方には属しません。
ただし、研究協力者の請求に応じて他の研究対象者等の個人情報等の保護および当該研究の独創性の確保に支障がない範囲内で研究計画書および研究の方法に関する資料を閲覧することができます。
下記問い合わせ先にご連絡ください。

本研究のデータは完全に匿名化され慶應義塾大学医学部脳神経外科医局内のハードディスクで厳重に保管されます。研究終了後、このデータは復元不可能な状態とされハードディスクは破棄されます。本研究以外にデータが使用されることはありません。

本研究の実施期間

研究実施許可日~2025年12月31日

外部への試料・情報の提供

外部への情報の提供はありません。

お問い合わせ

本研究に関する質問や確認のご依頼は、下記へご連絡下さい。
また本研究の対象となる方またはその代理人(ご本人より本研究に関する委任を受けた方など)より、情報の利用の停止を求める旨のお申し出があった場合は、適切な措置を行いますので、その場合も下記へのご連絡をお願いいたします。

平松匡文 岡山大学病院脳神経外科
Tel 086-235-7336

参考文献

  1. Halbach VV, Higashida RT, Hieshima GB, Hardin CW, Dowd CF, Barnwell SL. Transarterial occlusion of solitary intracerebral arteriovenous fistulas. AJNR Am J Neuroradiol. 1989 Jul-Aug;10(4):747-52.
  2. Upchurch K, Feng L, Duckwiler GR, Frazee JG, Martin NA, Vinuela F. Nongalenic arteriovenous fistulas: history of treatment and technology. Neurosurg Focus. 2006 Jun 15;20(6):E8.
  3. Lv X, Jiang C, Wang J. Pediatric intracranial arteriovenous shunts: Advances in diagnosis and treatment. Eur J Paediatr Neurol. 2020 Mar;25:29-39.