脊髄脊椎外科につきましては、整形外科の領域であると考えられていらっしゃる方がほとんどではないでしょうか? 欧米では、脊髄脊椎外科は脳神経外科手術の約半数を占める領域となっています。日本においても遅ればせながら、脳神経外科における脊髄脊椎外科手術は徐々に増加しており、また、高齢化社会を迎えるにあたり、近い将来欧米並みに増加するものと思われます。
我々、脳神経外科医は脊髄脊椎手術に際して、顕微鏡あるいは拡大鏡を用い、十分な光量・十分な拡大のもとに、安全な手術が行えるよう常に心がけております。狭く深い術野において、顕微鏡あるいは拡大鏡を用いることは、手術合併症の発生を最小に抑えるため非常に重要です。更に最近は、ナビゲーションシステムを用いた手術支援が脊髄脊椎外科領域にも応用され、危険な部位でのスクリューの刺入などに威力を発揮しています(当院ではステルスステーションを使用しています)。
脊髄脊椎疾患は下記の如く多岐に渉りますが、いずれの疾患においても合併症を生じることは、患者様に多大なデメリットを生じることになります。合併症を限りなくゼロにすることが、我々脊髄脊椎外科医の使命と考え、診療に当たっている次第であります。