2000年1月1日~2016年12月31日の間に
当科において脳原発悪性リンパ腫手術の治療を受けられた方へ
―「中枢神経系原発悪性リンパ腫腫瘍細胞および周辺組織における
PD-L1の発現の解析」へご協力のお願い―
研究機関名 岡山大学病院
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
研究機関長 岡山大学病院長 金澤 右
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科長 那須保友
責任研究者 岡山大学病院 脳神経外科 准教授 市川智継
分担研究者
所属:岡山大学病院 脳神経外科 職名:講師 氏名:黒住 和彦
所属:岡山大学病院 脳神経外科 職名:助教 氏名:藤井謙太郎
所属:岡山大学病院 脳神経外科 職名:医員 氏名:清水 俊彦
所属:岡山大学病院 脳神経外科 職名:医員(大学院生) 氏名:冨田 祐介
所属:岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 生体制御科学専攻 脳神経制御学講座 脳神経外科学分野
大学院生(医師) 氏名:服部 靖彦
所属:岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 生体制御科学専攻 脳神経制御学講座 脳神経外科学分野
大学院生(医師) 氏名:松本 悠司
所属:岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 生体制御科学専攻 脳神経制御学講座 脳神経外科学分野
大学院生(医師) 氏名:畝田 篤仁
中枢神経系原発悪性リンパ腫は全脳腫瘍の3%で、60〜80代の高齢者に多く発生しますが、高齢化に伴い発生率は増加傾向にあるとされています。放射線治療や化学療法が有効とされていますが、治療法の選択に幅があること、再発時の病勢が強いこと、再発後の治療法が確立されていないことなどが問題として挙げられています。
ところが最近、共同研究機関である大阪医科大学から他臓器癌で使用される抗PD-1抗体製剤による著効例が本邦で初めて報告されました。ただし、この抗体製剤での治療を考える上で治療効果を推測するための適正なバイオマーカーが判明していません。このバイオマーカーを検索する適正な方法を検討するために、2000年1月から2016年12月までに、当院で開頭または針生検で脳原発悪性リンパ腫と診断された方の腫瘍組織を大阪医科大学と連携して調べる共同研究を予定しています。
この研究では中枢神経系原発悪性リンパ腫患者さんの中で、手術で得られた腫瘍組織を用いて、他臓器癌での治療標的分子であるPD-L1のこの病気における関連を調べることを目的としています。
抗PD-1抗体製剤は中枢神経系原発悪性リンパ腫のような不治の悪性腫瘍に対して優れた効果を示すことが知られていますが、一方でその高額な薬価は大きな問題であり、わが国の経済を圧迫するとも言われています。この研究は効果が期待できる患者さんへの抗PD-1抗体製剤投与を限ることで、増大する医療費を将来的に抑制し、かつ難治性中枢神経系原発悪性リンパ腫の患者さんには治療の可能性を示すことが可能となることが予想できます。
難治性の中枢神経系原発悪性リンパ腫に対する抗PD-1抗体製剤の効果を予測します。
この抗PD-1抗体製剤が効果を発揮する条件としては、腫瘍もしくは腫瘍周辺組織にPD-L1の発現が重要であることが知られています。またこの抗PD-1抗体製剤は薬価が高額であり、効果が期待できる患者さんに使用を限定することは、患者負担、国の医療経費両面から重要です。以上の理由から、中枢神経原発悪性リンパ腫本体および周辺組織でのPD-L1の発現を調べることはどれくらいの割合の患者さんがこの治療の恩恵をこうむることができるのか予測でき、患者さん、国双方に有益な情報をもたらします。
2000年1月1日〜2016年12月31日の間に岡山大学病院および共同研究機関で開頭または針生検術を受けられた中枢神経系原発悪性リンパ腫の方70名を研究対象とします。その内岡山大学病院脳神経外科においては治療を受けられた方12名を研究対象とします。
倫理委員会承認後(2017年9月15日)~2020年3月31日
2000年1月1日〜2016年12月31日の間に当院において開頭または針生検術を受けられた中枢神経系原発悪性リンパ腫の方について、手術で得られた腫瘍標本を用います。また診療情報をもとに中枢神経系原発悪性リンパ腫とPD-L1との関係についての研究を行います。
具体的には、用いる病理標本はホルマリン固定、パラフィン包埋の未染色の切片15枚を使用し、抗PD-L1、PD-L2、CD3、CD20、CD163抗体を用いた免疫組織染色を行い、腫瘍組織内・腫瘍近緑・周囲組織内でのPD-L1、L2の陽性率を検討します。また、この陽性率と患者さんの全生存期間の相関も調べます。
この研究に使用する試料として、すでに保存されている手術で摘出した腫瘍組織、針生検で摘出した腫瘍検体のうち、岡山大学病院の病理診断等の保管必須分以外の、余剰分(染色済み標本1枚、未染色標本15枚)を使用させていただきますが、氏名、生年月日などのあなたを直ちに特定できる情報は削除し使用します。また、あなたの情報が漏洩しないようプライバシーの保護には細心の注意を払います。
この研究に使用する情報として、カルテから以下の情報を抽出し使用させていただきますが、氏名、生年月日などのあなたを直ちに特定できる情報は削除し使用します。また、あなたの情報などが漏洩しないようプライバシーの保護には細心の注意を払います。
・既往歴
・化学療法の治療歴、病理組織診断レポート、全生存の情報
この研究に使用する試料・情報は、以下の共同研究機関に提供させていただきます。
共同研究機関への提供の際、氏名、生年月日などのあなたを直ちに特定できる情報は削除し、提供させていただきます。
【試料・情報の提供先、解析担当】
大阪医科大学 脳神経外科 教授 黒岩敏彦
〒569-0801 大阪府高槻市大学町2-7
【組織の免疫染色担当】
大阪医科大学 病理学 講師 桑原宏子
【組織の免疫染色依頼先】(PD-L1染色を委託。染色後の標本は大阪医科大学へ返却される)
株式会社エス・アール・エル 代表取締役 東 俊一
本社所在地:〒163-0409 東京都新宿区西新宿2丁目1-1(電話 03-6279-0900 代表)
PD-L1染色実施施設:エス・アール・エル羽村ラボラトリー(病理ラボ)
〒205-0003 東京都羽村市緑ヶ丘3丁目5-5
【試料・情報の提供機関】(共同研究機関)
名古屋大学 脳神経外科 教授 若林俊彦
大阪大学 脳神経外科 助教 香川尚己
金沢大学 脳神経外科 教授 中田光俊
岡山大学 脳神経外科 准教授 市川智継
福井大学 脳・脊髄神経外科 教授 菊田健一郎
この研究に使用した試料・情報は、研究の中止または研究終了後5年間、大阪医科大学 がんセンター(責任者:宮武伸一)で保存させていただきます。岡山大学病院脳神経外科内では研究代表機関(大阪医科大学)へ試料・情報提供後、情報につきましては、3年間保存させていただきます。試料につきましては、新たな研究で利用する可能性がありますので、可能な限り半永久的に保存させていただきます。
電子情報保存の場合はパスワード等で制御されたコンピューターに保存し、その他の情報は施錠可能な保管庫に保存します。なお、保存した試料・情報を用いて新たな研究を行う際は、倫理委員会にて承認を得ます。
一定の期間保存が必要な理由は、研究終了後も論文作成やデータ確認を行う事が想定されるためです。
廃棄の際には、個人情報に十分注意して、電子情報はコンピューターから完全抹消し、紙媒体(資料)はシュレッダーにて裁断し廃棄します。
この研究では、患者さんのお名前に対応する番号をつけた一覧表を作り、研究には氏名、生年月日などのあなたを直ちに特定できる情報の含まれない対応番号のみを使います。個人情報が漏れないように、この一覧表は、岡山大学病院脳神経外科内の施錠可能な保管庫で保管します。研究代表機関(大阪医科大学)へは提出しません。
あなたのご希望があれば、個人情報の保護や研究の独創性の確保に支障がない範囲内で、この研究計画の資料等を閲覧または入手することができますので、お申し出ください。
また、この研究における個人情報の開示は、あなたが希望される場合にのみ行います。あなたの同意により、ご家族等(父母(親権者)、配偶者、成人の子又は兄弟姉妹)を交えてお知らせすることもできます。内容についておわかりになりにくい点がありましたら、遠慮なく担当者にお尋ねください。
この研究は氏名、生年月日などのあなたを直ちに特定できるデータをわからない形にして、学会や論文で発表しますので、ご了解ください。
この研究にご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。また、あなたの試料・情報が研究に使用されることについてご了承いただけない場合には研究対象としませんので、2017年12月31日までの間に、あなたもしくは、ご家族等の方より下記の連絡先までお申し出ください。この場合も診療など病院サービスにおいて患者の皆様に不利益が生じることはありません。
<問い合わせ・連絡先>
所属:岡山大学病院 脳神経外科
職名:准教授 氏名:市川 智継
電話:086-235-7336(平日:9時〜17時)
ファックス:086-227-0191
<研究代表者>
研究代表機関名 大阪医科大学
研究代表責任者 大阪医科大学 脳神経外科 教授(がんセンター長) 黒岩敏彦
主任研究者 大阪医科大学 がんセンター特務教授 宮武伸一