DPCデータを利用した破裂脳動脈瘤によるくも膜下出血患者に

おける脳血管攣縮の実態調査」へご協力のお願い

 

-平成23年4月1日~平成26年3月31日までに当科において脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血の治療を受けられた方へ-

 

研究機関名 岡山大学 

責任研究者 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 脳神経外科 教授  伊達 勲

分担研究者 岡山大学病院 脳神経外科 助教  菱川朋人

 

1.研究の意義と目的

 1)研究の意義

 脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血の患者さまの約40%が治療後に不良の経過を辿りますが,その原因の一つである遅発性脳血管攣縮は未だに詳しい症状,病状が解明されていないため,予防および治療法が確立していません。

 一方で脳動脈瘤の再破裂予防のための外科的治療(手術など)の多様化,手術後の管理方法が良くなってきたことにより従来と比較して,くも膜下出血後の脳血管攣縮が治療後の状態に及ぼす影響が徐々に少なくなっている背景があります。

 そこで共同研究機関32施設(頁の最後に記載)で,脳動脈瘤再破裂予防のための外科的治療を行ったくも膜下出血の患者さまを対象に,3年間約2,000例のデータをカルテなどから集め,予後(今後の病状についての医学的な見通し)に関わる様々な因子(原因要素)を解析します。その解析結果を基にくも膜下出血の患者さまの予後および遅発性脳血管攣縮に関わる因子をつきとめ,今後の治療改善につながることが予測されます。

 

【脳血管攣縮とは】

 脳血管攣縮とは、くも膜下出血を起こしてから3日目から23週間までの間に起こる現象で、脳の血管が収縮して血液の流れが悪くなることです。攣縮とは、血管が縮んで細くなることで、スパスムとも呼ばれます。その結果、意識状態が悪くなったり、手足のマヒや言語障害が悪化したりします。

 脳血管攣縮はその程度によって症状は様々で、軽い人は無症状であり、ひどくなると脳梗塞を起こして死に至ることもあります。

 神経症状に何らかの悪化を来すような脳血管攣縮の発生頻度は約30%と言われていますが、重症例ほど起こしやすいようです。また、最近の様々な予防的な治療法の開発で、その頻度は減少しています。

 しかしながら脳血管攣縮の詳しい発生機序については、まだ解明されていないことが多く、決定的な治療法もないのが現状です。

 

 2)研究の目的

 現在の日本における標準的な治療のもとで外科的治療(手術など)を行ったくも膜下出血患者さまの予後(今後の病状についての医学的な見通し)を調べることで,脳血管攣縮の発生率,予後に及ぼす影響を調べ,その発生に関わる因子(原因要素)を検討し,今後の治療の指針とすることがこの研究の目的です。

 

 3)被験者が被る利益・不利益等

 患者さまがこの研究に参加することによる利益はありません。この研究は将来の医学の発展のために行われるものであることをご理解下さい。

 この研究はすでに治療が行われているデータ(結果等)を使用するものです。患者さまに身体的不利益・危険性をもたらすことはありません。

 また,この研究に参加することにより病気の原因等が必ずわかるわけではありません。

 

  【個人情報保護について】

 カルテから抽出したデータの管理はコード番号で行い,患者さまの氏名など個人情報が外部に漏れることがないよう十分留意します。また,患者さまのプライバシー保護についても最新の注意を払います。

 共同研究機関である鳥取大学医学部脳神経外科へ患者さまのデータを送付する際にも患者さまのデータは個人情報が分からないようコード番号で行います。

 

2.研究の方法

1) 研究対象:

岡山大学病院の脳神経外科で診療を行っている脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血の患者さま30

 

2) 研究期間:

平成276月倫理委員会承認後から平成28331

 

3) 研究方法:

平成2341日から平成26331日までの間に当院において脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血と診断され治療を受けられた患者さまを対象に行います。

共同研究機関である鳥取大学医学部脳神経外科が連結可能匿名化されたDPCデータから患者さまの基本データを抽出し,詳細な追加情報を岡山大学病院の研究者が診療情報をもとに年齢性別発症前の状態既往歴くも膜下出血の重症度動脈瘤の部位手術方法術後管理の方法最終の状態に関するデータを選び,くも膜下出血患者さまの予後(今後の病状についての医学的な見通し)および遅発性脳血管攣縮に関わる因子(原因要素)が何であるかを調べます。

DPCデータとは:患者さまの臨床情報や診療行為等に関する情報であり,分析可能な全国統一形式の

        電子データセット

 

4) 調査票等:

研究資料にはDPCデータとカルテから以下の情報を抽出し使用させていただきますが,あなたの個人情報は削除し匿名化(コード番号を付与)し,個人情報などが漏洩しないようプライバシーの保護には細心の注意を払います。

年齢,性別,既往歴

診察所見,身体状態,治療内容,DSA3D-CTAMRACTMRIなどの画像検査データ

 

5) 情報の保護:

調査情報は岡山大学病院脳神経外科内で厳重に取り扱います。電子情報の場合はパスワード等で制御されたコンピュータに保存し,その他の情報は施錠可能な保管庫に保存します。研究内容は研究終了後5年間保管した後,適切な方法で廃棄致します。

調査結果は個人を特定できない形で関連の学会および論文にて発表する予定です。

 

この研究にご質問等がありましたら下記までお問い合わせ下さい。御自身の情報が研究に使用されることについてご了承いただけない場合には研究対象としませんので,平成271231日までの間に下記の連絡先までお申出ください。この場合も診療など病院サービスにおいて患者の皆様に不利益が生じることはありません。

患者さまのご希望があれば,個人情報の保護や研究の独創性の確保に支障がない範囲内で,この研究計画の資料を閲覧または入手することができますので,お申し出ください。

 また,この研究結果の開示は,ご本人が希望される場合にのみ行います。ご本人の同意により,ご家族等を交えてお知らせすることもできます。内容についておわかりになりにくい点がありましたら,遠慮なくお申し出ください。結果がわかるまでに数か月を要する場合があります。

 

  <問い合わせ・連絡先>

   岡山大学病院 脳神経外科

   職名:助教    氏名:菱川朋人

   電話:086-235-7336(平日9:0017:00

      086-235-7875(夜間休日:脳神経外科病棟)

   ファックス:086-227-0191

 

【共同研究機関】

川崎医科大学脳神経外科

弘前大学医学部脳神経外科

愛知医科大学医学部脳神経外科

岩手医科大学脳神経外科

日本大学医学部脳神経外科

藤田保健衛生大学医学部脳神経外科

鈴鹿回生総合病院脳神経外科

山梨大学医学部脳神経外科

獨協医科大学脳神経外科

富山大学医学部脳神経外科

東京大学大学院医学系研究科脳神経外科

青森県立中央病院脳神経外科

埼玉医科大学国際医療センター脳卒中外科

杏林大学医学部脳神経外科

山口大学医学部脳神経外科

三重大学医学部脳神経外科

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科脳神経外科

東北大学大学院医学系研究科脳神経外科

帝京大学医学部脳神経外科

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科脳神経外科

徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部脳神経外科

産業医科大学脳神経外科

北海道大学大学院医学研究科・医学部脳神経外科

埼玉医科大学総合医療センター脳神経外科

京都大学大学院医学研究科脳病態生理学講座脳神経外科

防衛医科大学脳神経外科

名古屋市立大学大学院医学研究科脳神経外科

鳥取大学医学部脳神経外科

島根大学医学部脳神経外科

九州大学大学院医学研究院脳神経外科

島根県立中央病院脳神経外科

国立循環器病研究センター脳神経外科

 

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