2009年1月1日~2018年12月31日の間に
当科において脳動脈瘤に対する血管内治療後の遅発性脳内多発病変の治療を受けられた方、およびそのご家族の方へ
―「脳動脈瘤に対する血管内治療後の遅発性脳内多発病変に関する
多施設共同後ろ向き観察研究」へご協力のお願い―
研究機関名 岡山大学病院
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
研究機関長 岡山大学病院長 金澤 右
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科長 大塚 愛二
研究責任者 岡山大学病院 脳神経外科 助教 平松 匡文
研究分担者 岡山大学病院 IVRセンター 准教授 杉生 憲志
1.研究の概要
1) 研究の背景および目的
低侵襲治療である血管内治療は、脳血管領域においても機器の進歩と相まって急速に普及している治療法ですが、一方でこの治療による特有の合併症も報告されるようになっています。
脳血管内治療施行後、主に数週間を経過した後に、治療対象病変が存在しているのと同じ血管が血液をおくる領域を主体とした脳内に、周囲に脳の腫れを伴う多発性病変が生じる特殊な病態が知られるようになり、わが国でも報告されています。発生頻度は0.3~0.5%程度とされ、痙攣、頭痛、麻痺などの神経症状を呈することで認識されることが多いですが、無症状で経過することもあるとされています。症状が生じた患者様に対しては内科的治療が試みられ、おおむね症状は改善しています。この原因としては、カテーテルなどの血管内治療器具に使用される親水性ポリマーという材質に対するアレルギー反応の可能性や、造影剤の影響や白質脳症、ニッケル等の金属アレルギーの可能性も報告されています。
以上より、現時点で「脳血管内治療後の遅発性多発病変」の疾患の全体像はいまだ明らかになっているとはいえず、臨床経過を予測する因子の解明や治療法の確立は重要な課題であります。
この研究では、脳動脈瘤に対する待機的脳血管内治療(ステント非併用およびステント併用瘤内塞栓術、フローダイバーター留置術)を受けられた後に、脳梗塞では説明できない遅発性脳内多発病変を呈した患者様の情報を集積・検討することで、疾患の全体像(発症率・発症時期・症状・画像所見・治療・転帰など)および不良な臨床転帰に関連する因子を明らかにすることが目的です。
2) 予想される医学上の貢献及び研究の意義
この研究の結果は、この疾患の早期診断と治療法の確立に資するものであると考えられます。
2.研究の方法
1) 研究対象者
2009年1月1日~2018年12月31日の間に岡山大学病院および共同研究機関で脳動脈瘤に対する血管内治療後の遅発性多発病変の治療を受けられた方100名、岡山大学病院脳神経外科においては治療を受けられた方2名を研究対象とします。
2) 研究期間
2019年7月26日~2020年3月31日
3) 研究方法
2009年1月1日~2018年12月31日の間に当院において脳動脈瘤に対する血管内治療後の遅発性多発病変の治療を受けられた方で、研究者が診療情報をもとに年齢・性別・併存疾患・既往歴・投薬内容・治療対象動脈瘤の情報・脳血管内治療に関する情報・周術期合併症・遅発性脳内多発病変に関するデータを選び、疾患の全体像および不良な臨床転帰に関する分析を行い、症状の残存に関連する因子について調べます。
4) 使用する情報
この研究に使用する情報として、カルテから以下の情報を抽出し使用させていただきますが、氏名、生年月日などのあなたを直ちに特定できる情報は削除し使用します。また、あなたの情報などが漏洩しないようプライバシーの保護には細心の注意を払います。
・ 術前基本情報(年齢、性別、併存疾患、既往歴、投薬内容)
・ 治療対象動脈瘤に関する情報(症候、部位、サイズ、形状、性状、治療既往)
・ 脳血管内治療に関する情報(治療年月日、麻酔方法、治療に用いた器具、造影剤の種類と量、治療に要した時間、塞栓結果、周術期の抗血栓療法、同時治療疾患)
・ 周術期合併症
・ 遅発性脳内多発病変に関する調査項目(症状、治療内容、転帰、MRI画像所見)
5) 外部への情報の提供
この研究に使用する情報は、以下の共同研究機関に提供させていただきます。提供の際、氏名、生年月日などのあなたを直ちに特定できる情報は削除し、提供させていただきます。
研究事務局
久留米大学 脳神経外科学講座
〒830-0011 福岡県久留米市旭町67
TEL 0942-31-7570
6) 情報の保存、二次利用
この研究に使用した情報は、研究の中止または研究終了後または研究結果の最終の公表後10年間、研究事務局および各共同研究期間で厳重に保管されます。岡山大学病院では脳神経外科(臨床研究棟9階脳神経外科医局 准教授室内)で保管させていただきます。電子情報の場合はパスワード等で制御されたコンピューターに保存し、その他の情報は施錠可能な保管庫に保存します。
なお、保存した情報を用いて新たな研究を行う際は、倫理委員会にて承認を得ます。
廃棄の際には、個人情報に十分注意して、電子情報はコンピューターから完全抹消し、紙媒体(資料)はシュレッダーにて裁断し廃棄します。
7) 研究計画書および個人情報の開示
あなたのご希望があれば、個人情報の保護や研究の独創性の確保に支障がない範囲内で、この研究計画の資料等を閲覧または入手することができますので、お申し出ください。
また、この研究における個人情報の開示は、あなたが希望される場合にのみ行います。あなたの同意により、 ご家族等(父母(親権者)、配偶者、成人の子又は兄弟姉妹等、後見人、保佐人)を交えてお知らせすることもできます。内容についておわかりになりにくい点がありましたら、遠慮なく担当者にお尋ねください。
この研究は氏名、生年月日などのあなたを直ちに特定できるデータをわからない形にして、学会や論文で発表しますので、ご了解ください。
この研究にご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。また、あなたの情報が研究に使用されることについて、あなたもしくは代理人の方にご了承いただけない場合には研究対象としませんので、2019年9月30日までの間に下記の連絡先までお申し出ください。この場合も診療など病院サービスにおいて患者の皆様に不利益が生じることはありません。
<問い合わせ・連絡先>
岡山大学病院 脳神経外科
氏名:平松匡文
電話:086-235-7336(平日:8時30分~17時15分)
ファックス:086-227-0191
<研究組織>
研究代表機関名 久留米大学医学部 脳神経外科学講座
研究代表責任者 久留米大学医学部 脳神経外科学 教授 廣畑 優
研究事務局 久留米大学 脳神経外科学講座 竹内靖治
〒830-0011 福岡県久留米市旭町67
共同研究機関
亀田総合病院 脳神経外科 田中美千裕
久留米大学医学部 放射線医学講座 田上秀一
筑波大学医学医療系 脳神経外科 脳卒中予防・治療学講座 松丸祐司
愛知医科大学 脳神経外科 脳血管内治療センター 宮地 茂
岡山大学病院 脳神経外科 平松匡文
他 全国公募参加予定施設(約50施設)