2008年1月1日~2017年3月31日の間に
当科において未破裂中大脳動脈瘤の外科治療を受けられた方へ
―「複雑な未破裂中大脳動脈瘤に対する直達術の治療成績の検討」へ
ご協力のお願い―
研究機関名 岡山大学病院
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
研究機関長 岡山大学病院長 金澤 右
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科長 大塚愛二
研究責任者 岡山大学病院 脳神経外科 講師 菱川朋人
研究分担者 岡山大学病院 脳神経外科 教授 伊達 勲
岡山大学病院 IVRセンター 准教授 杉生憲志
岡山大学病院 脳神経外科 助教 平松匡文
岡山大学病院 脳神経外科 医員 髙橋 悠
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 生体制御科学専攻 脳神経制御学講座
脳神経外科学分野 大学院生(医師) 村井 智
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 生体制御科学専攻 脳神経制御学講座
脳神経外科学分野 大学院生(医師) 西 和彦
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 生体制御科学専攻 脳神経制御学講座
脳神経外科学分野 大学院生(医師) 山岡陽子
1.研究の概要
1) 研究の背景および目的
本邦における未破裂脳動脈瘤の保有率は約3%であり比較的高頻度であることが分かっています。未破裂脳動脈瘤が破裂するとくも膜下出血をきたします。くも膜下出血は致死率が高く重篤な疾患であるため、未破裂脳動脈瘤は予防的に処置をしておくことが望ましいと考えられます。未破裂脳動脈瘤に対して有効な薬物療法は存在せず、直達術(開頭クリッピング術:クリップで動脈瘤を閉じる)もしくは血管内治療(コイル塞栓術:コイルで動脈瘤を詰める)などの外科治療が中心となります。大きい動脈瘤は破裂しやすいとされていますが、一方で大きい動脈瘤は治療が難しいことが分かっています。未破裂中大脳動脈瘤は頻度の高い動脈瘤でその形状から血管内治療より直達術が選択されることが多い動脈瘤です。中大脳動脈瘤は最初の分岐部に発生することがほとんどで通常クリッピング術で治療されますが、中大脳動脈の遠位に発生する動脈瘤や大きさが10mm以上の動脈瘤(これらを複雑な未破裂中大脳動脈瘤と呼びます)は直達術の難易度が高く、クリッピング術だけでなく迂回路を作り動脈瘤がある血管ごと閉じる治療(バイパス術を併用した母血管閉塞)など特殊な治療が必要となります。近年は脳血管撮影、MRI、CTなどの画像を用いて術前に手術シミュレーションをかなり詳細に行うことができるようになりました。更に手術台と血管撮影装置を兼ね備えたハイブリッド手術での術中血管撮影、運動機能をチェックする術中モニタリング、位置情報を確認するナビゲーションシステムなどの手術支援機の発展により脳神経外科手術自体の安全性も向上しています。当科では困難とされている複雑な未破裂脳中大脳動脈瘤に対しこれらの術前シミュレーションや手術支援機器を駆使して直達術を行っています。その治療成績を通常のクリッピング術と比較検討することで術前シミュレーションや手術支援機器を駆使した治療の安全性と問題点を提起することが本研究の目的になります。
2) 予想される医学上の貢献及び研究の意義
治療成績に差がなければ術前シミュレーションや手術支援機器の使用が有効であると言えます。治療成績に差を認めた場合はその要因を検証し問題点を提起することで治療成績の改善に繋がります。当科の最先端の技術を駆使した複雑な未破裂中大脳動脈瘤の治療成績は本邦の指標となる可能性があります。
2.研究の方法
1) 研究対象者
2008年1月1日~2017年3月31日の間に岡山大学病院脳神経外科において未破裂中大脳動脈瘤の外科治療を受けられた方82名を研究対象とします。
2) 研究期間
倫理委員会承認後(2018年6月26日)~2020年12月31日
3) 研究方法
2008年1月1日~2017年3月31日の間に当院で未破裂中大脳動脈瘤と診断され外科治療を受けられた方で、研究者が診療情報をもとに年齢・性別・既往歴・入院時、退院時、最終診察時神経所見・入院時、退院時、最終診察時mRS score・CT画像所見・MRI画像所見・血管撮影所見・治療情報・周術期合併症・再発に関するデータを選び、分析を行います。合併症の発生要因、再発や機能予後に関与する要因を検証します。
4) 使用する情報
この研究に使用する情報として、カルテから以下の情報を抽出し使用させていただきますが、氏名、生年月日などのあなたを直ちに特定できる情報は削除し使用します。また、あなたの情報などが漏洩しないようプライバシーの保護には細心の注意を払います。
・年齢・性別・既往歴・入院時、退院時、最終診察時神経所見・入院時、退院時、最終診察時mRS score、
・CT画像所見・MRI画像所見・血管撮影所見・治療情報・周術期合併症・再発に関するデータ
5) 情報の保存、二次利用
この研究で取り扱う情報等は、匿名化した上で、研究・解析に使用します。
匿名化の方法については、患者さんの氏名、生年月日などのあなたを直ちに特定できる情報の含まれない独自の符号を付けます。当該情報が漏れないように、この符号をつけた際の対応表は、岡山大学病院脳神経外科内のパスワード等で制御されたインターネットに接続できないコンピューターで保管します。
この研究に使用した情報は、研究の中止または研究終了後5年間、岡山大学病院脳神経外科内で保存させていただきます。電子情報の場合はパスワード等で制御されたコンピューターに保存し、その他の情報は施錠可能な保管庫に保存します。なお、保存した情報を用いて新たな研究を行う際は、倫理委員会にて承認を得ます。
一定の期間保存が必要な理由は、研究終了後も論文作成やデータ確認を行う事が想定されるためです。
廃棄の際には、個人情報に十分注意して、電子情報はコンピューターから完全抹消し、紙媒体(資料)はシュレッダーにて裁断し廃棄します。
6) 研究計画書および個人情報の開示
あなたのご希望があれば、個人情報の保護や研究の独創性の確保に支障がない範囲内で、この研究計画の資料等を閲覧または入手することができますので、お申し出ください。
また、この研究における個人情報の開示は、あなたが希望される場合にのみ行います。あなたの同意により、ご家族等(父母(親権者)、配偶者、成人の子又は兄弟姉妹等、後見人、保佐人)を交えてお知らせすることもできます。内容についておわかりになりにくい点がありましたら、遠慮なく担当者にお尋ねください。
この研究は氏名、生年月日などのあなたを直ちに特定できるデータをわからない形にして、学会や論文で発表しますので、ご了解ください。
この研究にご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。また、あなたの情報が研究に使用されることについて、あなたもしくは代理人の方にご了承いただけない場合には研究対象としませんので、2018年7月31日までの間に下記の連絡先までお申し出ください。この場合も診療など病院サービスにおいて患者の皆様に不利益が生じることはありません。
<問い合わせ・連絡先>
岡山大学病院 脳神経外科
氏名:菱川朋人
電話:086-235-7336(平日:8時30分~17時-)
ファックス:086-227-0191