研修カリキュラム

 

 

卒後専門研修(脳神経外科)

 

はじめに

 脳神経外科は「脳、脊髄、および末梢神経に関する外科」と定義されている。脳には言うまでもなく我々の精神が宿っているばかりでなく、すべての行動は脳によってコントロールされていると言える。このすべての臓器の中で最も崇高な脳にメスを入れて治療することができるのは我々脳神経外科医だけである。現代の脳神経外科は顕微鏡手術が主流で、正確な解剖学的知識の上に術前の綿密な手術計画に基づいた繊細な手術が要求される。さらに、脳神経外科領域の近年の発展はめざましく、脳腫瘍に対する遺伝子治療、パーキンソン病に対する定位脳手術、カテーテル等を使用した血管内手術、内視鏡手術等の新しいサブスペシャリティが次々と確立してきた。さらに、神経再生療法・移植療法等の最先端医療の臨床応用も目前に迫っている。

 研究においては「脳科学」はいまだに発展段階で多くの研究課題が残されており、非常にやりがいのあるテーマが数多く存在している。臨床面においても、脳神経外科は手術だけでなく、脳卒中診療から救急医療全般にわたって多大な貢献をしている。このような中で脳神経外科医は全国的に不足しており、本邦における三大疾患(悪性新生物・心疾患・脳卒中)の一翼を担う脳神経外科の重要性が再認識されている。当教室は全国でも最大規模の講座であるが、関連病院数も多く医局員数は未だ充足しているとは言い難い状況が続いている。

 

1.診療科・講座の目指すもの

 岡山大学脳神経外科は日本で4番目に開設された歴史と伝統のある講座であり、同門会員数も約300名となり、中国四国地方を中心に数多くの関連病院を抱えている。教室では豊富な人材を生かし世界トップレベルの研究を継続するとともに、基礎研究をベースとして優れた臨床医を育てることをモットーとしている。具体的には、卒後4年間で脳神経外科の基本的知識と開頭術をマスターし、その上で研究室の選択(サブスペシャリティ決定)を行い、将来の方向性を見据えつつ最先端の研究を行い学位を取得、卒後7、8年目で専門医を取得した後、本格的な顕微鏡手術の道に入る。また、当科では留学を強く勧めており、希望があれば海外留学のチャンスを与えている。現在、教授以下大学のスタッフは全員が海外留学経験者で、留学での国際経験を教室に持ち帰ることで、常に教室はアカデミックでインターナショナルな雰囲気を保ち続けることができている。

 

2.専門医制度及び大学院進学と研修プラン

 脳神経外科学会専門医受験資格は、従来、脳神経外科学会入会後6年、専門医指定訓練施設での研修、規定の手術件数の経験等が求められてきた。今回の卒後臨床研修必修可により、学会入会後6年の規定が4年に短縮された(卒後臨床研修の2年間を終えた後、脳神経外科を選択して学会に入会してから4年間)が、逆に以前よりも短期間により多くの脳神経外科専門研修が求められることになる。

 脳神経外科専門医試験は比較的難しく、合格率は60数%であるが、岡大からの受験者はほぼ100%合格している。岡大及び主要関連病院では豊富な症例をもとに経験豊富なスタッフが懇切丁寧に指導するよう努めており、また大学では専門医試験のために特別講義を行っている。このような、過去の実績からも我々は当科での研修教育システムは優れたものと自負している。

 岡山大学脳神経外科では従来、入局後半年間の大学病院での初期研修の後、約3年間の基幹病院における総合臨床研修、2-3年間の研究室(大学院)勤務による学位取得、その後専門医試験受験ないしは留学という基本プランで多くの成果をあげてきた。当科の方針として、すべての教室員が学位を取得し、基礎研究の経験を経てリサーチ・オリエンテイティドなゼネラル・フィジシャンになることが基本目標であり、この伝統は継続すべきものと考えている。今回の制度変更に伴い基幹病院における総合臨床研修を2年間とし、その後、従来通り2年間の研究室(大学院)勤務に続き専門医試験受験ないしは留学というプランを予定している。従来3年であった専門研修期間が新制度では2年になるが、当教室及び関連病院の豊富な症例数、優秀なスタッフの指導、そして過去の実績から有意義な専門研修を送っていただけると考えている。

 新入局者の最初の研修として岡山大学脳神経外科での研修は必須と考えており、同じ脳神経外科でも各大学や病院間で微妙なスタイルの違いがあるため、当科入局希望者に関しては、可能な限り岡山大学病院(ないしは当科関連病院)での卒後臨床研修をお願いしたい。そうすれば、卒後臨床研修の2年間の中で脳神経外科を最低3ヶ月は選択可能となり、入局後速やかに関連基幹病院への出張が可能となり、結果として研修期間を有効に使えることができる。また、脳卒中は救急疾患のなかでも大きな比重を占めており、当院でも救急部・神経内科・当科の3科が密に連携し、脳神経疾患救急ユニットとして実績をあげている(共同診療に加え、毎月の定期カンファレンス)。当科に入局した場合でも、希望があれば救急部や神経内科への出向は可能であるし、岡大での卒後臨床研修を選択された場合には、救急部研修の間に当科と連携して脳卒中の救急診療の第一線で一緒に活動していただくことになる。

 

連絡先

700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1 岡山大学脳神経外科

TEL:086-235-7336(医局直通  FAX:086-227-0191

医局長宛:安原 隆雄 講師

気軽に御連絡下さい。

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