-平成17年1月1日~平成26年5月31日までに当科において脳腫瘍の治療を受けられた方へ-


研究機関名 岡山大学  
責任研究者 岡山大学 脳神経外科 教授  伊達 勲
分担研究者 
所属:岡山大学病院 脳神経外科 職名:講師       氏名:黒住和彦
所属:岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 生体制御科学専攻 脳神経制御学講座 脳神経外科学分野
                             職名:准教授      氏名:市川智継
所属:岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 生体制御科学専攻 脳神経制御学講座 脳神経外科学分野
                             大学院生(医師)    氏名:大谷理浩
所属:岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 生体制御科学専攻 脳神経制御学講座 脳神経外科学分野
                             大学院生(医師)     氏名:清水俊彦
   
1.研究の意義と目的

(1)研究の背景
脳(のう)や脊髄(せきずい)にできる中枢(ちゅうすう)神経(しんけい)腫瘍(しゅよう)は脳(のう)組織(そしき)自体から発生する原発性(げんぱつせい)脳(のう)腫瘍(しゅよう)と他の臓器の癌(がん)が脳へ転移してきた二(に)次性(じせい)脳腫瘍に分けられます。全国の統計によると,原発性脳腫瘍が成人に起こる割合は10万人に10人程度で,そのうち約4分の1がグリオーマというグリア細胞(神経系を構成する神経細胞をサポートする細胞)由来の腫瘍であり,最も頻度の高い中枢神経腫瘍のひとつです。手術療法,化学療法,放射線療法を施行しても,再び大きくなる場合もあり,このため,グリオーマのタンパク質レベルでの細かな解明が求められております。


(2)研究の目的
CYR61 (cysteine-rich protein 61) はCCNファミリー(ある種の細胞成長や細胞接着に関わるタンパク質群)のひとつであり,細胞接着因子として知られるインテグリンと結合性が高く,脳腫瘍の血管(けっかん)新生(しんせい)や増殖(ぞうしょく)(一般に血管を作り出す力と腫瘍細胞が増える力が高いほど腫瘍の大きくなるスピードが早いです)に関連しているとされます。過去に行われた研究では,グリオーマに強く発現していると報告されています。
近年,O6-Methylguanine-DNA methyltransferase (MGMT)(グリオーマに対する化学療法剤に抵抗する因子のひとつとして知られるタンパク質)やイソクエン酸デヒドロゲナーゼ (isocitrate dehydrogenase 1: IDH1)(グリオーマのあるグループの多くでその遺伝子変異が確認されている酵素)といったグリオーマの生命予後や再発までの期間を推測するのに有用な因子が注目されています。
私達は,CYR61,MGMT,IDH1変異の発現を調べ,その組み合わせとグリオーマとの関連を調べることにより,グリオーマのバイオマーカー(疾患(しっかん)の目印となる生物学的因子)としての有用性を検証したいと考えています。


2.研究の方法
1) 研究対象:
岡山大学病院の脳神経外科で診療を行った脳腫瘍の患者さま


2) 調査期間:
2005年1月1日~2014年5月31日


3) 研究方法:
患者さまから提供していただいた,すでに手術摘出されてあるグリオーマの病理標本をMGMT,IDH1変異などの既知の予後因子である抗体,抗CYR61抗体及びその関連因子である抗インテグリン抗体などを用いて免疫(めんえき)組織(そしき)染色(せんしょく)を行います。また包括的(ほうかつてき)同意をもとに手術摘出した残りの組織を冷凍保存しておりましたが,この凍結(とうけつ)組織を用いてPCR(ピーシーアール)法などの精密検査を行います。染色強度と病理診断別の臨床像(症状,画像所見,予後など)との関連性を後ろ向きに調査します。また,その後の経過については過去のカルテから検索したり,臨床試験分担医もしくは主治医が患者自宅あるいは転医先医療機関に直接連絡し,調査させていただきます。
以上の研究に用いるすべてのサンプルはすべて匿名化し,個人情報が漏出することのないよう研究を施行します。


4) 調査票等:
研究資料にはカルテから以下の情報を抽出し使用させていただきますが,患者さまの個人情報は削除し匿名化(とくめいか)し,個人情報などが漏洩(ろうえい)しないようプライバシーの保護には細心の注意を払います。
・ 年齢,性別,家族歴,既往歴
・ 診察所見,画像所見,治療内容,血液や組織,画像診断などの検査データ
・ 組織


5) 情報の保護:
調査情報は岡山大学病院脳神経外科内で厳重に取り扱います。電子情報の場合はパスワード等で制御されたコンピュータに保存し,その他の情報は施錠可能な保管庫に保存します。
調査結果は個人を特定できない形で関連の学会および論文にて発表する予定です。
この研究にご質問等がありましたら下記までお問い合わせ下さい。御自身や御家族の情報が研究に使用されることについてご了承いただけない場合には研究対象としませんので,平成26年11月30日までの間に下記の連絡先までお申出ください。この場合も診療など病院サービスにおいて患者の皆様に不利益が生じることはありません。
 資料(試料)は研究終了後,患者さまの同意が得られた場合に限り約5年間保存させていただき,新たな研究を行う際の貴重な試料として利用させていただきたいと思います。新たな研究を行う際は,岡山大学病院脳神経外科のホームページに掲載してお知らせします。保存を希望されない場合は下記の連絡先までお申し出下さい。
研究結果の開示につきましては患者さま(含代諾者)が希望される場合に開示いたします。また患者さまのご家族が希望される場合で本人の同意を条件として開示いたします。開示を希望される場合は下記の連絡先までお問い合わせ下さい。


  <問い合わせ・連絡先>
所属:岡山大学病院 脳神経外科
職名:講師     氏名:黒住和彦   
086-235-7336        
e-mail:kkuro@md.okayama-u.ac.jp

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